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オステオパシー手技療法FDM
スポーツ障害に関する論文掲載報告
スポーツコンディショニングにおける革命的進歩
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FDM アスレチックパフォーマンスの強化 〜 |
Typaldos core member FDM official instructor
FDM Asian Association 代表 田中啓介,FDM.O. |
近年、わが国におけるスポーツ人口の増加は目覚しいものがある。多種多様なスポーツが一般的に行われるようになり、その競技能力もまた目覚しくし進歩している。その反面、過剰なトレーニングやアクシデントによりその能力を低下させる選手の数も急増している。このような状況の中、スポーツコンディショニングと言う分野は重要な位置を占めることとなった。
スポーツコンディショニングには大きく分けて二つの目的がある。 その目的とは:
@:個々の運動選手をゲーム当日に照準を絞り、如何にして最善のコンディションを作り上げるか?
A:個々の種目に応じ最も適した肉体をどのように作り出すか?
@では、食事や様々なサプリメント等で体調を整え、マッサージや休養で心身の緊張を取り除くことで達成できる。
Aは、スポーツトレーナーの専門分野であり、その専門知識を有する者の指導に従えば何ら問題は生じない。しかしながら双方共に、もし人体に発生した損傷、或いは過去に発生した損傷がそれらの目的の達成を妨害するなら、それらはファッシャルディストーションモデルの分野となる。
ファッシャルディストーションモデルでは、あらゆるスポーツの種類を問わず、その個人の潜在能力を最大限に発揮することの出来る状態を導き出すことが可能である。それは競技選手における過酷な練習により、或いは趣味の領域にある選手もまた、必ずと言えるほど過去に損傷を負った経歴を持っているからである。
1.何の障害もなくすぐに癒えた。
2.治癒に長期の時間を必要とした。
3.症状は軽減したものの完全に治癒していない。
4.一見治癒したように見えるが可動制限や筋力の低下を残す。
最初に挙げた損傷は、殆どの選手に記憶が残っていない。これは完全な自然治癒を意味し、運動能力の妨げになる可能性は無い。しかしながらそれ以外の損傷の経験を持つ選手は、必ず彼等の潜在能力の妨げとなる損傷が根底に存在し続けている。例えば後大腿直筋に肉離れの経験を持ち、治癒に時間と休養を要し、その後に柔軟性や強度の左右差を持つ、或いは違和感を感じる選手において、それは100%の運動能力を否定するのに十分な要因となる。
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捻挫や肉離れ、靭帯損傷等の急性損傷においてもまた、それらの損傷が運動機能の障害となることは言うまでもない。ファッシャルディストーションモデルでは、これらの損傷を速やかに還元させることにより、より早く、時には施術療直後からその競技に復帰させることが可能であるので、スポーツコンディショニングの分野で最も大きな役割を果すと言える。
このように、ファッシャルディストーションモデルにおけるスポーツコンディショニングに対する概念は、殆ど全てのアスリートたちが潜在的に持っている過去の損傷を治癒させることにより、彼等が本来持つ能力を最大限に引き出すことに集中する。それは0,1秒の短縮、1cmの延長、0,1kgの強化につながる。そしてこれらの小さな結果は、限界を追求する才能の争いにおいて勝敗を大きく左右する重要な因子となる。また、突発的アクシデントにより生じた急性損傷の場合においても、それらの損傷を可能な限り速やかに還元させることにより、少なくとも最低限度の、時には完全な運動機能を回復させ、彼等の長年の努力、夢、目標を現実のものとすることがファッシャルディストーションモデルを実践する者の努めである。それらの事実を幾つかの症例をもって紹介する。
ファッシャルディストーションモデルに関する総括的概念はマニピュレーションNO,72に掲載された投稿論文“ファッシャルディストーションモデル(オーソパシックメディスン)の概略と症例呈示”を参照のこと。
症例 Clinical Examples
症例1 24歳 男性 肘の痛み
社会人野球選手(投手)この男性は、左肘の激しい痛みが発生し一ヵ月後にオフィスを訪れた。過去に幾度となく肩や肘の故障を繰り返し、離断性骨軟骨炎から遊離体、嵌頓症状(整形外科医による診断)が存在した。更に肘部管症候群の絞扼性神経傷害を解決するための尺骨神経前方移行術の傷後が大きく残っていた。症状は肘関節内側から前腕に刺すような痛みを訴え、マウンドからホームベースにさえボールが届かない状態であった。彼の肘関節の嵌頓症状を取り除くためには、整形外科による手術が必要と思われたが、このときの肘と前腕に発生する症状は、過去の離断性骨軟骨炎によるものではなかったため、ファッシャルディストーションモデルによる6回(3週間)の施術で解消された。
議論
ファッシャルディストーションモデルのアスレチックパフォーマンスの強化と言う観点から、繰り返される肘の損傷を考察するとき、単なる肘の損傷として処理するにはあまりにも抵抗がある。可動域の判定では、彼の左肩の内旋運動は極端に制限されていた。無理に制限を越えさせようと試みると、上腕外側から三角筋後方に痛みが発生した。これは上腕筋間中隔における筋膜組織の三次元的変化を示唆している。この障害は、投球動作のワインドアップ期からコッキング期での動作“体の後での腕の振り”を制限し、体幹の前方移動の後に続く腕の振りから生じる“ため”がなくなり、球速とボールの回転を著しく低下させる。したがってより速い投球を行うためには、肩、そして特に肘に極端な負担を負わせざるを得ない。それが全ての損傷の原因であったと考えられる。
結果
肘の治療に要した6回の施術の間、後半の3回の施術は左上腕筋間中隔の三次元的変化を還元させることに集中した。彼の左肩の内旋運動の制限は完全に開放され、投球動作は柔軟性を回復し、肘にかかる負担を軽減した。球速は彼の最良の時期と同等の140kmを回復した。その後彼が引退するまでの約2年間、肩と肘の症状が再発することはなかった。
症例 Clinical Examples
症例2 17歳 男性 肉離れ
高校の野球部に所属するこの少年は、2004年7月4日、一塁ベースを駆け抜けたとき左大腿後部に異常な音と激痛を覚え、全く左足を動かすことができなくなった。整形外科医の診断は、左大腿部の肉離れ、全治2週間と下された。行われた処置は、松葉杖とサポーター、そして冷却と休養の指示のみであった。しかしこの少年には、高校生活最後の試合、夏の全国高校野球地区予選が7月11日に控えていた。どうしてもその試合に出場したと言う思いから、7月8日、クリニックを訪れた。
発生機序
・上記の通り
主観的所見
・左大腿後部で異音を感じた部分の明確な痛み
・大腿後面の全体的な痛み
客観的所見<
・足を引きずり歩く(入念な冷却により松葉杖は必要ない)
・前屈の制限(指先が膝下約5cmに届く程度)
潜在的表現
・大腿後部を指で撫でる動作
・大腿後部を掌で撫でる動作
診断
・大腿後面の直線状の筋膜線維の変化
・大腿後面の円筒状筋膜の変化
解説
肉離れ特有の異音を伴う症状の発生と症状を指で撫でることで表現する動作は、筋線維に生じた小さな断裂、或いは離裂を意味する。そして大腿後面に発生する全体的な痛みを掌で撫でるように表現する動作は、サポーターを着用していたことによる深筋膜、或いは筋周膜の線維の乱れを意味する。ファッシャルディストーションモデルでは、前者を直線状の筋膜線維の変化、後者を円筒形の筋膜線維の変化と判断する。
治療
7月10日に行われる開会式に出席するため、治療に要することの出来る期間は2日間のみであった。鑑別された二つの解剖学的変化を矯正した結果、初回の施術直後から正常な歩行と完全な前屈を回復した。そして翌日、完全な運動機能を回復させるため、施術は野外で行われた。
結果
2回の施術の後、彼はほぼ全力で走ることが可能となったが、若干の痛みが残存した。試合当日には全力で走り、支障なくプレーできたと報告した。
議論
残念ながら彼のチームは初戦で敗れたため、彼の高校野球生活は終わり受験勉強に専念した。日常生活は勿論、彼が大学に進学し再度練習を開始したとしても何ら支障はないだろう。しかしながら彼がトップアスリートを目指したとき、そして小さな筋膜組織の解剖学的変化が残存していたなら、それは100%の運動機能を発揮する妨げとなるであろう。ファッシャルディストーションモデルでのアスレチックパフォーマンスの強化では、これらの患者を再度検査し、可動域、柔軟性、強度、全てにおいて正常に還元させることが100%の治療となる。(初回の治療を撮影した映像有り)
症例 Clinical Examples
症例3 18歳 男性 内側半月板損傷
2004年6月、バスケットの練習中に転倒し、後方からチームメイトが右膝の上に圧し掛かり右膝を外反捻挫したこの少年は、整形外科でのMRI検査により内側半月板損傷の診断を受け手術を奨められた。しかしこの少年のチームはインターハイ出場を勝ち取っており、彼は無謀にも手術を断りインターハイに出場した。結果は言うまでもなく全くプレーできずに終わった。しかしなおもこの少年は、7月20日から開催される高校国体に出場するため整形外科の指示を無視し、7月9日、オフィスを訪れた。
発生機序
・上記の通り
主観的所見
・膝関節内側の痛み
・間接深部での疼痛>
・伸展制限
・屈曲制限
・歩行
客観的所見
・爪先を着いて辛うじて歩く
・伸展135度
・屈曲制限は少ないが臀部に踵を着けることが出来ない
・マクマレーテスト陽性
・アプレーテスト牽引圧迫共に陽性>
・膝関節に掌を配置して関節深部の疼痛を表現する
・膝関節内側を指で撫でて靭帯の痛みを表現する
・常識では考えられない精神力<BR>
議論
ここで整形外科による診断を覆すつもりはない、MRIに映し出された映像は事実である。しかしながら彼の運動機能を阻害する症状の根源は、損傷した半月板からのみ発生しているのだろうか?どのくらいのパーセンテージを占めるのか?ではもしこのアクシデントが半月板を損傷するには及ばなかったなら、彼の症状は発生していなかったのだろうか?それらを考慮したとき施術を試みる価値があると判断された。何故なら彼は膝関節を捻挫した。それが極端であったから半月板を損傷したのである。“半月板を損傷したから痛い”は大昔からの固定観念である。
治療
この施術の目的は、本人の希望を尊重し、国体に出場させることにある。半月板損傷から発生する痛み以外の症状を取り除き、その結果どのくらい症状を軽減させ運動機能を回復させられるかは、実際に矯正を行ってみなければ予測できない。また半月板損傷の修復は整形外科の分野であり、仮に症状を取り除くことが出来、運動機能を回復したとしても、整形外科的介入の必要性は整形外科医により決断されなければならないことを両親に説明し施術が行われた。
結果
初回の施術で正常な歩行と伸展障害を取り除き、続く13日、16日、計3回の施術の結果、右足で高く飛び着地する動作以外は完全な運動機能を回復し、無事国体に出場することが出来た。2004年9月6日の電話による確認では、国体出場中は全く症状なくプレーできたことを確認した。しかしながら国体終了後、屈伸運動から再度軽度の伸展制限が発生し、現在手術を受けるべきか思案の最中であることも確認した
症例 Clinical Examples
症例4 14歳 女性 突き指</FONT><BR>
2004年7月19日、バレーボールの練習中に相手のスパイクをブロックし、右手の小指(近位指節間関節)を突き指したこの女性は、その直後から極度の腫脹が生じたため整形外科へ搬送された。レントゲン検査の結果、幸い骨折は認められなかったが、7月25日に行われる彼女の中学生最後の試合の出場は絶望的となった。翌20日、担任教師(FDMによる施術を受けた経験を持つ)の奨めに最後の望みを託しオフィスを訪れた。急性損傷の施術には痛みが伴うことを告げ、矯正が開始された。ビデオの撮影は拒否された。
発生機序
・上記の通り
主観的所見<
・ただ痛い
・全く動かすことが出来ない。
客観的所見
・顕著な腫脹
・微かにしか動かない小指
・試合直前の怪我に落胆する表情
潜在的表現
・痛みのため小指を触ろうとしない
議論
この症例においてもまた、施術の目的は数日後の試合に出場させることにある。自然治癒を待っている猶予はない。しかしながら根底に存在する筋膜組織の変化を鑑別することは困難であった。その理由は:
・最後の試合に出場できないことに落胆し、症状を説明することに積極的でない
・痛みのため小指を触ろうとしない=潜在的表現を行わない
したがって発生機序のみを頼りにどのような変化が彼女の小指に生じているかを鑑別しなければならなかった。存在すると想定された筋膜組織の変化は:
・筋膜表面の3次元的変化・・・ボールの衝撃による関節周囲の筋膜組織への圧縮による
・直線状の筋膜線維の変化・・・指節間関節の過伸展による。
・靭帯、腱付着部での変化・・・直線的ボールの外力と過伸展による捻りの外力による
・円筒状筋膜の変化・・・・・・上記三つの変化に付随して
これらの想定された筋膜組織の変化は、FDM鑑別システムに従えば自ずと導き出される判断ではあるが、年齢性別を問わずスポーツ選手は、彼等の体を何より大切な道具であると考えている。その大切な道具が損傷し、痛み、使用不可能となっている。それを第三者に委ね、痛みに耐え施術を受ける。もし最初のアプローチで何ら変化が現われなかったなら、彼等は間違いなく継続を拒否する。したがってその矯正は鑑別以上に困難である。
結果
上記に挙げた筋膜組織の変化を順に矯正し15分後、彼女は力強く拳を握り、素早く小指を動かせるほどに回復し、その日の午後から練習を再開し支障なくプレーすることができた。翌日の継続施術で完全に症状を取り除き矯正を終了した。後日、担任教師からの報告で、全く支障なく試合に臨むことが出来たことを確認した。
結論
例に挙げた四つの症例は、どれも現代の常識では信じ難い症例であるが、全て患者から直接事実を確認出来る症例である。それはファッシャルディストーションモデルが現在のカイロプラクティックやオステオパシーなど、あらゆるマニュアルメソッドとは全く異なる独自の概念、診断、矯正法の下に実践されることにより成されている。そしてそれはあらゆる疾患、損傷は勿論、スポーツコンディショニングの分野においても重要な役割を占める。冒頭で述べたように近年のスポーツ人口は急増し、低年齢化している。これは多くの有能な選手を育てる反面、過剰なトレーニングや怪我により有能な才能を数多く失っているのもまた紛れもない事実である。ファッシャルディストーションモデルは、現代のあらゆる療法での処置に反応しないアスリート達の最後の選択肢とも言える。
※注記
この文章は、ファッシャルディストーションモデルの創始者、スティーブン・ティパルドス,D.O.の許可の下に書かれています。本文章中にファッシャルディストーションモデルの専門用語は使用されておりません。
参考書籍
・FDM
医学と外科的処置の実践範囲内におけるファッシャルディストーションモデルの理論的、臨床的応用
第四版
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| ファッシャルディストーションモデル(FDM)とは、救急現場でのオステオパシーの臨床から開発された、オステオパシーの最新手技技術です。アメリカやヨーロッパの国々のみならず、世界中のオステオパシー学会や医療関係者から注目され、普及しつつある、新しい分野です。FDM アジアン アソシエイションは、FDMの普及を支援するFDM国際連合(FIF)の一員として活動を行っています。 |
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| 管理者 FAA事務局長 岩田宏平 (いわたこうへい) |
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